Debian 12 "Bookworm" LXQt デスクトップ環境は、軽量さと高速性を追求する Linux ユーザーにとって理想的な選択肢です。

私自身、古いノートパソコンに Bookworm LXQt をインストールしてみましたが、その軽快さに驚かされました。

起動時間が短く、アプリケーションの応答も素早いため、日常的な作業がストレスなく行えます。

特に、リソースの限られた機器でも快適に動作する点が魅力的です。

また、カスタマイズ性も高く、自分好みの環境を構築できるのも大きな利点です。

初心者にとっては少し敷居が高く感じるかもしれませんが、Linux の真の力を体験したい方には強くおすすめできるディストリビューションです。

しかも、PuppyLinux フォーラムで公開されている Bookworm with LXQT Desktop ISO はフルーガルインストールでき。OS自体もコンパクトです。

今回は、Bookworm with LXQT Desktop ISOを使って、日本語化の方法や活用について詳しくふれていきたいと思います。








Bookworm with LXQt Desktop の概要


Debian 12 "Bookworm" は、2023年6月にリリースされた Debian の最新安定版です。

LXQt デスクトップ環境と組み合わせることで、軽量かつ高速な Linux システムを実現しています。

主な特徴:
  • カーネル 6.1 シリーズを採用
  • LXQt 1.2 デスクトップ環境
  • 軽量で高速な動作
  • 長期サポート (LTS) 対応


LXQt は Qt ベースの軽量デスクトップ環境で、LXDE の後継として開発されています。

低リソースでも快適に動作するため、古いハードウェアや性能の限られたデバイスに最適です。

Bookworm with LXQt Desktop を活用する意義


Bookworm LXQt を選択する主な理由は以下の通りです:

  1. リソース効率: 限られたハードウェアリソースを最大限に活用できます。
  2. 高速性: 軽量なシステムにより、起動やアプリケーションの応答が高速です。
  3. 安定性: Debian の安定性と長期サポートにより、信頼性の高いシステムを構築できます。
  4. カスタマイズ性: LXQt は高度にカスタマイズ可能で、ユーザーの好みに合わせて調整できます。
  5. 学習機会: Linux システムの基本を学ぶのに適しています。


特に、教育機関や非営利組織、リソースの限られた環境での使用に適しています。

また、開発者やシステム管理者にとっても、軽量で効率的な作業環境として活用できます。

Bookworm with LXQT Desktop ISO フルーガルインストール


Bookworm with LXQT Desktop ISO のフルーガルインストールは、最小限のソフトウェアのみをインストールする方法です。

これにより、システムリソースを節約し、必要なアプリケーションのみを後から追加できます。

インストール手順:

  1. Bookworm with LXQT Desktop ISOの ISO イメージをダウンロードします。

    ダウンロードは下記のフォーラムから可能です。

    https://www.forum.puppylinux.com/viewtopic.php?p=129681



  2. フルーガルインストールliveフォルダーをコピー

    ダインロードしたISOファイルを開いて、live フォルダーを丸ごとコピーします。

    僕は、PuppyLinuxを使いましたがISOファイルの中身が見えるものなら何でも良いです。コピーするのは、live フォルダーだけでかまいません。

    僕は、USBメモリのext4でフォーマットした領域に BookWorm-LXQT-amd64 というフォルダを作成して、その中に live フォルダをコピーしました。




    インストールに必要なのは live フォルダだけです



  3. grub4dos または grub の設定

    他のLinuxもインストールしている環境で、Bookworm with LXQT Desktopgの起動にgrub4dos を使用する場合は、menu.lst に下記のスクリプトを追加します。

    title BookWorm-LXQT-amd64 (sdb3)
    root (hd0,2)
    kernel (hd0,2)/BookWorm-LXQT-amd64/live/vmlinuz1 noauto from=/BookWorm-LXQT-amd64/ changes=/BookWorm-LXQT-amd64/live/
    initrd (hd0,2)/BookWorm-LXQT-amd64/live/initrd1.xz

    (hd0,2) は、1番目のハードドライブ、3番めのパーティションに BookWorm-LXQT-amd64 をインストールしたことを表しています。

    BookWorm-LXQT-amd64 はインストールするために作成したフォルダー名です。つまり live フォルダをコピーした場所になります。

    一方、grub.conf に記述して、BookWorm-LXQT-amd64 を起動する場合は、grub.confに下記を追加します。

    menuentry "BookWorm-LXQT-amd64(sdb3/BookWorm-LXQT-amd64)"{
    set root='(hd0,2)'
    search --no-floppy --fs-uuid --set=root 4b77cab6-bbb5-4334-856e-f8c194af595b
    linux /BookWorm-LXQT-amd64/live/vmlinuz1 root=UUID=4b77cab6-bbb5-4334-856e-f8c194af595b from=/BookWorm-LXQT-amd64/ noauto changes=/BookWorm-lXQT-amd64/live/
    initrd /BookWorm-LXQT-amd64/live/initrd1.xz
    }

    linux /BookWorm-LXQT-amd64/live/vmlinuz1 root=UUID=4b77cab6-bbb5-4334-856e-f8c194af595b from=/BusterDog/ noauto changes=/BookWorm-LXQT-amd64/live/

    は1行なので注意してください。

    また、4b77cab6-bbb5-4334-856e-f8c194af595b はパーティションのuuidです。これは、ターミナルを起動して、blkidなどのコマンドで調べることができます。

  4. Bookworm with LXQT Desktopの英語モードでの起動

    以上で、英語モードで起動できるようになりました。

    画像は、すでに日本語化が終了しているものです。




このフルーガルインストール方式により、約 2GB 程度の小さなシステムを構築できます。

必要に応じて追加のソフトウェアをインストールすることで、カスタマイズされた環境を作り上げることができます。

Bookworm with LXQt Desktop 日本語化の方法


Bookworm with LXQT Desktopの日本語化は、以下の手順で行います:

  1. 日本語フォントを導入:

    Bookworm with LXQT Desktopを日本語で表記するために、日本語フォントを導入します。

    まず、wifi を設定してインターネットに接続します。

    準備として、/etc/apt/sources.list を編集します。

    ターミナルから、sudoleafpad /etc/apt/sources.list を実行し、下記の部分を追加しました。

    deb http://ftp.jp.debian.org/debian/ bookworm main contrib non-free




  2. キーボードのレイアウトを日本語に設定:

    ターミナルから sudo leafpad /etc/default/keyboard と入力します。

    XKBMODEL="pc106"
    XKBLAYOUT = "jp"

    に変更します。変更したら保存してくださいね。

    または、Bookworm with LXQT Desktopのメニューには、Set ketboard layout があるので、そこら起動して設定してもOKです。

  3. 日本語フォントのインストール:

    ここで、Synaptic パッケージマネージャ から日本語フォントをインストールします。

    僕は、takaoとVLゴシックを入れました。

    fonts-takaoとfonts-vlgothicを検索して、インストールすればOKです。

    最近、人気のフォント noto-cjk を導入しても良いと思います。




  4. ロケールを入れて日本語に変更:

    いよいよ、日本語表記にするためにロケールを設定します。

    ターミナルから

    # sudo apt-get install locales
    # sudo dpkg-reconfigure locales

    または、Bookworm with LXQT Desktopのメニューから、Set Locale/Language を選択しても良いでしょう。

    ja-JP.UTF-8 を選択します。

    変更した場合は設定を次のコマンドで反映します。

    # sudo locale-gen

    ja_JP.UTF-8 と表示されればOKです。

    一度再起動しましょう。

    続いて、日本語環境に設定します。下記のコマンドをターミナルから実行します。

    # sudo update-locale

    次のコマンドで、ja_JP.UTF-8 と表示されればOKです。

    # sudo echo $LANG

    ja_JP.UTF-8

  5. ロケール設定の確認:

    再起動して、端末でロケールを確認します。すべての日本語設定は下記のようになっているはずです。

    # sudo locale




    すでに、メニューなどが日本語化されているはずです。

  6. タイムゾーンの設定

    時刻の設定をします。下記のようにターミナルから入力します。

    # sudo dpkg-reconfigure tzdata

    Asia → Tokyo を選択します 。

    または、メニューから Setup Timezone を起動しても良いと思います。




  7. 日本語入力環境のインストール iBus Anthy fcitx Mozcのインストール:

    Bookworm with LXQT Desktopは rootで起動したり、一般ユーザーで作業したりと切り替えながら操作できます。

    しかし、rootでは、日本語変換 mozc が起動しないため、Anthyを導入することにしました。

    ターミナルを起動して、

    # apt install --install-recommends kasumi ibus-anthy im-config

    im-config を設定して、先程インストールした日本語入力を選択します。

    もし、im-configを端末から起動させようとしたとき、zenity が足りないと言われたら、Synapticパッケージマネージャか らインストールするか、-c オプションをつけて、下記のようにターミナルから im-config を起動してもよいでしょう。

    こうすることで、zenityのような大きなファイルをインストールせずにすみます。

    # sudo im-config -c

    root 環境では ibus anthy を選択しま した。

    im-config の設定画面



    これで、root でも、日本語変換ができるようになりました。

    また、一般ユーザーモードで日本語入力では mozc を使いたいので、まず最初に fcitx 、fcitx-mozc 及び推奨パッケージをインストールします。

    ここでは、推奨パッケージを同時にインストールするため、「--install-recommends」オプションをつけて、端末からインストールしていきます。

    $ sudo apt install --install-recommends fcitx fcitx-mozc

    従来の方法、Synaptic からの fcitx-mozc のインストールでは、推奨パッケージのインストールが不完全なため、追加パッケージが必要となっていまし た。

    そして、問題なのは何が足りないのか分からないことです。

    今回のインストールでは、下記のように必須のモジュール群が追加インストールされています。

    これらがないと mozcが立ち上がらないようです。

    ・fcitx-frontend
    ・fcitx-config
    ・fcitx-module
    ・zenity

  8. 一般ユーザー、rootで切り替えながら仕事をする方法:

    せんので、ここで、一般ユーザー puppy へ切り替えます。

    ・Ctrl+Alt+F2 でログイン画面へ
    ・puppy、puppy でユーザーモードへ
    ・startx でユーザーモード起動

    ルートモードへ戻るには Ctrl+Alt+F3、その後、ユーザーモードへ行くにはCtrl+Alt+F4、ルートとユーザーを F3と F4 で行ったり来たりできます。

    ・ルートモード : Ctrl+Alt+F3
    ・ユーザーモード : Ctrl+Alt+F4

    システムをメインテナンスをするには、rootで作業、普段は、一般ユーザーで作業するなど、とても便利に使っています。

    root での起動画面

    root での起動画面



    一般ユーザー puppyでの起動画面(実際は、adduserユーザーを追加、自分のログイン名でログインしています。)

    一般ユーザー puppyでの起動画面



  9. Bookworm with LXQt Desktop の活用方法


    Bookworm with LXQt Desktop は、その軽量性と高速性を活かして様々な用途に活用できます:

    • 古いハードウェアの再利用: 4GB 以下のメモリを搭載した古いPCでも快適に動作します。
    • 開発環境としての利用: 軽量な IDE や開発ツールをインストールして、効率的な開発環境を構築できます。
    • サーバー管理用端末: SSH クライアントや管理ツールをインストールして、サーバー管理用の軽量端末として活用できます。
    • 教育用端末: プログラミング学習や基本的な IT スキルの習得に適しています。
    • メディアセンター: KODI などのメディアセンターソフトウェアをインストールして、軽量な家庭用エンターテイメントシステムを構築できます。
    • ネットワーク監視端末: ネットワーク監視ツールをインストールして、24時間稼働の監視端末として使用できます。
    • カスタムキオスク端末: ウェブブラウザや特定のアプリケーションのみを使用する専用端末としても活用可能です。



    サクッとまとめると


    *まとめ
    Bookworm with LXQT Desktopは、軽量で高速な Linux 環境を提供します。

    リソースの限られたハードウェアや、シンプルで効率的なシステムを求めるユーザーにとって最適な選択です。

    特に、カスタマイズ性や安定性を重視する方には強くおすすめできるディストリビューションです。

    Bookworm LXQt をインストールし、その軽快さと使いやすさをぜひ体験してみてください。